
「そろそろ屋根のメンテナンスが必要かも…」
「どんなリフォーム方法があるんだろう?」
「費用はどれくらいかかるの?」
大切なお住まいを守る屋根。リフォームとなると、様々な疑問や不安があるかと思います。このページでは、屋根リフォームの選択肢の一つである「屋根カバー工法」について、その特徴やメリット、費用などを分かりやすく解説します。
リフォームのタイミング
~こんな症状は屋根からのサインかも?~
屋根は日々、雨風や紫外線から住まいを守っています。しかし、年月とともに劣化は避けられません。以下のような症状が見られたら、屋根リフォームを検討するタイミングかもしれません。

これらのサインに気づいたら、一度屋根診断をすることをおすすめいたします。早期発見・早期対応が、お住まいを長持ちさせる秘訣です。
屋根リフォームの種類とポイント
~あなたのお家に最適な方法は?~
屋根のリフォームには、主に3つの方法があります。それぞれの特徴とポイントを理解し、ご自宅の状況や予算に合った方法を選びましょう。

■屋根の塗り替え
特徴
今ある屋根材の表面を、新しい塗料で塗装する工法。比較的コストを抑えられる、工事期間が短いのが特徴。
こんな方におすすめ
屋根材自体の傷みが少なく、色あせや軽い汚れが気になる場合。定期的なメンテナンスとして、美観と基本的な保護機能を回復させたい場合。
■屋根カバー工法
特徴
今ある屋根材はそのままに、その上から新しい軽い屋根材を被せて覆う工法。葺き替えよりも費用を抑えやすい、工事期間が短め、廃材が少ない、屋根が二重になることで断熱性や遮音性のアップも期待できる。
こんな方におすすめ
今の屋根材(特にスレート屋根や軽量金属屋根)の傷みが進んできたが、下地(野地板)はまだしっかりしている場合。費用を抑えつつ、屋根の性能を大幅に改善したい場合。アスベスト含有屋根材のリフォームにも有効な手段。
■屋根葺き替え
特徴
今ある屋根材をすべて取り払い、新しい屋根材に一新する工法。下地の状態を隅々まで確認・補修できる、好みの屋根材を選べる。
こんな方におすすめ
屋根材だけでなく、その下の野地板なども傷みが激しい場合。雨漏りが広範囲で起きている場合。家の耐震性を考えて屋根を軽くしたい場合。
屋根カバー工法のメリット・デメリット
屋根カバー工法は、既存の屋根を活かしながら、新しい屋根材でいわば「二重の守り」を施す、効率的でメリットの多いリフォーム方法です。

メリット
■費用の節約
既存屋根の解体・処分費用が不要なため、葺き替えに比べてコストを抑えられます。アスベスト含有屋根材の処理費用削減にも繋がります。

■工期の短縮
解体作業がない分、工事全体の期間が短くなり、日常生活への影響も最小限にできます。

■環境負荷の低減
廃材の発生を大幅に抑制でき、環境に優しい工法です。

■快適性の向上
屋根が二重構造になることで、断熱効果や遮音効果のアップが期待できます。

■防水性の強化
新しい防水シートと屋根材により、雨漏りに対する防御力が格段に向上します。

デメリット
■下地状態の確認制限
既存屋根の上から施工するため、下地(野地板など)の劣化状態を細部まで直接確認しにくい側面があります。

■適用できない屋根がある
瓦屋根のように凹凸が大きい、または重い屋根材には基本的に適用できません。

工事の流れ
ご近所への配慮(挨拶回り)
工事を始める前に、業者がご近所の皆様へ工事期間や内容についてご挨拶に伺います。

足場の組み立て
安全第一で丁寧な作業を行うために、お住まいの周りに足場を組み、必要に応じて養生ネットで覆います。

屋根の点検・清掃
古い屋根の状態を改めて確認し、必要であれば高圧洗浄機などで汚れやコケをきれいに洗い流します。

既存部品の取り外し
屋根のてっぺんにある棟板金や、雪止めが付いている場合はそれらを取り外します。

防水シートの施工
古い屋根材の上に、新しい防水シート(ルーフィングシートとも言います)を隙間なく丁寧に敷き詰めます。これが雨漏りを防ぐための非常に重要な工程です。

新規屋根材の取り付け
敷設した防水シートの上に、ガルバリウム鋼板などの新しい屋根材を、軒下から屋根の頂上に向かって一枚一枚丁寧に固定していきます。

仕上げ作業
新しい屋根材に合わせて、棟板金や雪止めなどを新たに取り付け、雨水の浸入路を確実に塞ぎます。

最終点検・清掃
全ての作業が完了したら、仕上がり具合を細かくチェックし、周辺を清掃します。

工事の完了と引き渡し
足場を解体し、お客様に最終確認をしていただいた後、工事完了となります。工事期間は、屋根の広さや形、天候などにもよりますが、おおよそ1週間から2週間程度が目安です。

屋根カバー工法の費用目安
屋根カバー工法の費用は、いくつかの要因によって変わってきます。例えば、使う屋根材の種類、屋根の面積や形状の複雑さ、下地の状態、足場の必要性などです。

この金額には、通常、足場の設置費用、防水シート、新しい屋根材、関連部品の工事、諸経費などが含まれます。 ご自宅の正確な費用を知るためには、必ず複数の専門業者に見積もりを依頼し、提示された内容をじっくり比較検討することが大切です。見積書には、どのような工事が具体的に含まれているのか、使用する材料のメーカー名や製品名まで記載してもらうようにしましょう。
塗装リフォームだけでは不十分な場合
~屋根カバー工法が選ばれる理由~
「まだ塗装で何とかなるのでは?」そうお考えになる方もいらっしゃるでしょう。確かに、屋根材の傷みが浅い段階であれば、塗装リフォームも有効なメンテナンス手段です。しかし、次のような状況では、塗装だけでは問題の根本的な解決にならず、数年後に再びリフォームが必要になってしまうことも少なくありません。
■屋根材そのものの寿命が近い、または過ぎている
屋根材自体が寿命を迎えている場合(例:スレートで20~30年)、塗装で表面をきれいにしても素材の劣化は防げません。

■見えない部分(防水シートや野地板)の劣化が心配
屋根材の下にある防水シート(ルーフィング)も経年劣化します(寿命目安15~25年)。塗装工事ではこの重要な防水層や、その下の野地板のメンテナンスは行えません。

■すでに雨漏りが発生している、または過去に雨漏りの経験がある
塗装だけで雨水の浸入経路を完全に特定し塞ぐのは難しく、根本的な解決に至らない可能性があります。

■アスベストが含まれる屋根材
古いスレート屋根等に含まれるアスベストは、塗装で飛散を一時的に抑えても将来の解体・処分費が課題です。

屋根カバー工法は、こうした塗装リフォームだけでは対応しきれない問題を解決し、より長期間にわたって屋根のコンディションを保つための有効な選択肢となります。初期費用だけでなく、将来的なメンテナンスの頻度や手間、そして得られる快適性まで含めて考えると、塗装よりもカバー工法にメリットがあるケースは少なくありません。